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平田憲太朗さんインタビュー | 相手をとことん知る、自分をとことん理解する

2022年6月末に広島県にある大崎下島で開催したFINd YOUr COMPASsに参加してくれた”ひらけん”こと平田憲太朗さんにインタビューさせてもらいました。(このプログラムでは、みなさんが呼ばれたい名前で呼び合っています。)

インタビューの場面で、ときおり見せる笑顔からどんな時でも人を大事にし、また、誰からも人に愛される存在であること。その表情に“ひらけん”の人柄の良さがあらわれていると改めて感じました。

そんなひらけんが大事にしていることは、

“相手のことをとことん知る、会社も含めて、自分をとことん理解する。
相手を知り、自分を知るからこそ、信頼関係ができる“


そのプロセスを今では地で実践しています。しかし、この考えに至るまでには、さまざまな葛藤があったと語ってくれました。

そんなひらけんが、今回、なぜこのプログラムを受けようと思ったのか、また、出来上がったMY COMPASS【人生の羅針盤】が自分にとって、どんなものになったのか、さらには、仕事の場面でどのように活用し、どのような可能性があると考えているのか、話してくれました。

ぜひこの記事を参考に、仕事との向き合い方、さらには自分の人生との向き合い方のヒントをつかんでみてください。

自分らしさを初めて認めてくれた会社との出逢い

——今、どんな仕事をしていますか?

現在は、営業部門の本社スタッフとして、現場の人たちとともに、大切な商品をどうやって届け、どうやったら、お客様に喜んでもらえるか、常に戦略を考え、お互いに理解し合うことを大切にしながら、最前線の営業をサポートすることを仕事としています。

——どんなきっかけで、ビール業界で働くことを決めましたか?

就職氷河期と言われる1999年にキリンビール株式会社に入社し、勤続23年になります。ただ、その出逢いまでには、紆余曲折がありました。

学生時代の夢は、ぼんやりとだけど建築家になること。その目標を目指し受験した。しかし、第1志望の学校には合格できず、第2志望の学校に進むことに。

進学する中で建築学科がなかったことに途中で気がつき、そこから、気持ちを切り替え、剣道に打ち込み始めていった。その時、剣道部の監督とのご縁が、キリンビールという会社との初めての出逢い。

その監督が道場に着てくるキリンビールのジャンパー、愛社精神に溢れ、ビールをめちゃくちゃ美味しそうに飲む姿、当時あまり思うような実績が出なかった自分を辛抱強く、先鋒として起用し続けてくれたことなど、今思えばそこからつながっていたような気がする。

それから数年が経ち、就職氷河期といわれた時代に、なんとか一社から内定をもらい喜んでいた。しかし、なぜか素直に喜べなかった。素晴らしい会社だったけど、ギラギラした雰囲気が自分には合わないことを感じ、どうにか断る理由を探していた。そんな時に、卒業に一つの単位が足りないことが分かった。そして、これを理由にお断りし、就職浪人をすることを決意した。

それから1年が経ち、就職活動開始。しかし、世間は甘くなく、就職試験に落ちる日々が続いた。そんな時に、再び出会ったのがキリンビールだった。

ご縁とは不思議なもので、自分の良さを認めてくれ、面接も噛み合い、内定をもらうことができた。面接で感じたことは、自分の良さを評価してくれたことだった。それが、とても嬉しかった。そして、何より人が良い、嘘をつかず、素直な言葉で伝えてくれる人がいる、この会社だからこそ、楽しく働ける、働きたいという思いにつながった。だからこそ、今でも働いているのだと思う。

最初から正しく言える人なんて、ほとんどいない

——これまでに苦労や悩んだ経験はありましたか?

入社してから営業をする中で、さまざまな失敗や成功体験をしてきました。お客さまの声を鵜呑みにして、そのまま対応したことで怒られたこともある。

「明日までに持ってきてくれ!!」

その言葉の裏には、もっと違うメッセージが含まれていることに、あるとき気がついた。それは、言葉の裏にあるなぜを聞くことが大切であり、しっかりと本音を聞き切ること。すぐには言葉に出来なかった、本当に必要なものを届けていくこと。その積み重ねが、取引先と業者を超えた先にある、信頼やパートナーシップにつながると思う。そして、それこそが営業の醍醐味だと思っている。

今、育成する立場にもなり、その“相手をとことん知る”ことの大切さを伝えていきたい。そんな思いを持って仕事をしている。たまに相手やシチュエーションを間違えて、なぜを聞きすぎて怒られることもあるけどね。

ひととひとをつなぐ場への想い

——社内外で、ひととひとをつなぐ場の取り組みをされているのはなぜですか?

本社スタッフとして働くようになり、環境によって、「人が役割を演じ人格を消してしまう」、そんな瞬間を間近に感じたことや、40代が間近になり、自分自身のキャリアを考えることが多くなっていた。そんなとき、2016年にキリン生活文化研究所の公募があり、自ら希望し、異動することになった。そこで、さまざまな外部での学びを社内で共有することを行うようになっていった。

そんな中、幸福学との出会いがあった。慶応SDMが主催するshiawaseシンポジウムというイベントに友人に誘われていった。そこで、対話に、さらに小布施という場所に出会った。

ちょうどその頃、自分自身も、役割と責任の呪縛で、自分の思いを言葉に出来なくなっていた。対話を知る中で、自分達の年代がうちなる声を発話できる場を取り入れれば、何かが変わるかも知れない、そんな想いを持ちながら4〜5年は社内のコミュニケーションの中に少しずつ対話の要素を移植してきた。

昨年ぐらいから、いつか地域と関わって何かしたい、という思いから、小布施町で、ボランティアで仲間とともにまちづくりの取り組みにも参加するようになった。その中で、思いがけず、ずっと想いとして持っていた“ビールでまちづくりに貢献する”、そんな企画をする機会に恵まれた


活動の中で学んだことは、

「本当にやりたいなら、ただやるだけ。」

そのことを気づかせてくれた。

『信州小布施を原料に まちとクラフトビール大作戦』

ひらけんのこの取り組みへの想いはこちら

エネルギーの注ぎ方として、どちらも中途半端にはできない。社内での仕事も、社外での活動のどちらも全力で、そんな想いで日々取り組んでいた

言葉と写真だけで、そのひと”そのもの”の在り方を感じる

——何がきっかけでFINd YOUr COMPASsを受けようと思いましたか?

小布施での活動や対話の場で、FINd YOUr COMPASsを主催する武井さんと出会い、一緒に対話したり、ビール作りに取り組んでいた。そんな時に、武井さんのMY COMPASSを見せてもらう機会があった。

それをみた瞬間、これは武井さん、そのものじゃないかと思った。

武井さんのMY COMPASS【人生の羅針盤】

一枚の写真と言葉を見ただけで、ここまで、その人が大切にしているものが、これだけの解像度で表すことができるって面白いなと思った。そして、自分が大切にしているものが、一枚の絵になったら、選択に迷った時に立ち戻りやすいし、自分のことを相手に伝える時に説明しやすいと思った。特別、何かに困って作りたかったというより、今の自分を切り出したら、どういう形になるのかに興味があった。これをつくってみたい、その好奇心の方が強かった。そう思って参加を決めました。

——実際にMY COMPASS【人生の羅針盤】を作ってみてどうでしたか?

ひらけんのMY COMPASS【人生の羅針盤】

最終的に出来上がったMY COMPASS【人生の羅針盤】を見て、これだと思った。しかし、出来上がってから、仕事に邁進し始めてすぐ、身体が悲鳴を上げてしまい、入院することになってしまった。

その時、自分が作ったMY COMPASSの言葉への疑問が湧いてきた。

“仲間と共に限界を突破し”という表現がある。この言葉の考え方そのものが、身体を壊す原因を作っていたのかも知れない。そんなことを思うようになっていた。

それから無事に退院し、仕事に復帰した。それから、コンパスのことも忘れ、業務に集中して取り組んでいた。

ある時、ふと立ち止まり考えてみた。すると、自分が仕事で、間違いなく、無意識に行動していることが、このMY COMPASSの行動指針に書かれていた。ただ、これまでの自分が捉えていた言葉の解像度が低かったのだと気がついた。

例えば、行動指針のひとつ “火種になる”。この言葉を作ったときは、“火種”は優しい炎をイメージしていた。しかし、実際の仕事の場面では、力強いバチバチとした火種もあれば、穏やかな火種もある。また、“ワチャワチャ楽しむ”という言葉には、言いたいことを言い合いながら、まとまらない“ガチャガチャ”しているような状態も含まれていた。また、身体を壊したことは、自分の両手に乗せられるエネルギーの許容量が10しかないのに、左手に仕事10、右手にボランティア10をのせようとしていた。

そもそもの行動指針が間違っていたのではなく、どのようにするかが間違っていた。それに気づいて、スッキリしたんだよね。

行動するときの自分の大切なことを測るバロメータ

——改めてMY COMPASS【人生の羅針盤】とは、ひらけんにとって何ですか?

自分自身をモニタリングできる体温計のようなバロメータだと思っています。

5つの行動指針に、それぞれのサーモセンサ(温度計)が取り付けてあり、日常的には、自分の適正値を捉えることができる。また、挑戦している時には、自分の適正値を超えて、どの能力を発揮しているのか、気づかせてくれるもの。言い換えると、先に進むためにさらに大切にするべき価値観を教えてくれるもの。それがMY COMPASSかな。

それから、言葉にしてみて気づいたことがある。

これまでの経験で大事にしてきたことを言葉にし、一度目の前に置くことで、言葉の見え方が変わる。何気なく普段使っている言葉にもそれぞれのグラデーションがあると感じるようになった。

例えば、MY COMPASSの“ひら菌(よろこびの熱)を繁殖させていく”という言葉。

これって初めて聞いた人は、まったく意味がわからない表現だと思う。でも、その背景を知った時に言葉の色(意味)が変わる。相手から見た、自分の言葉のグラデーション(捉え方)が変わると言って良いかも知れない。相手が自分の想い・願いを聞くことで、最初は受け取っていた色味が淡かったものが、自然と濃い色に変わっていくような感覚。

この言葉の背景には、これまでに、自分が、誰にとっても居心地の良い場所を作る中で、取り止めのない話ができたり、口癖が同じになる、そんな変化を目の当たりにしたとき、それは自分にとって、何か菌のような伝染力があるものが、自分の中からと伝わっていた感覚があった。

その経験を例えたとき、菌のようなイメージが湧いてきた。ビール業界で働いている中で、その意味を考えるようになってきたのか、その経験する過程で、自分が菌になる感覚が育ったのか、はたまたビール酵母に触れる中で菌になったのかはわからないけれどね。

自分にとって、“ひら菌(よろこびの熱)”という言葉も、たくさんの体験をし、少しずつ色味が濃くなっていったとき、気がつくと別の色になるのかも知れない。その色が変わった時、別の言葉に置き換わる。そんな感覚を、仕事をする中で感じたんだよね。

——この言葉を探していくプロセスで、印象に残っていることはありますか?

お互いのライフストーリーをじっくりお互いに聴き合う中で、自分と同じように、ものづくりの会社で、葛藤しながらも、自社の製品が好きで働いている人や、転職をしながらも自分の軸を持って、仕事の中で、積み重ねてきた姿を感じることができた。それは、その人の“生き様”を知ることだった。

誰もが仕事を通じてやってきたことには、一つ一つに意味がある。それを積み重ねてきた歴史、その人の仕事へ取り組む姿勢を知ること。それは、自分が大切にしている

 “相手をとことん知ること”

そのプロセスの中で、自分の中に“火種ができていた”。プログラムが終わってからも、あの人ともっと話がしたかった。そんな思いがずっと心に残っているんだよね。

本質的なことにフォーカスできる

——仕事において、MY COMPASSをどう活かしていますか?

仕事の場面で、息詰まり、格闘している時、これをやるべきなのか、なぜそれをやっているのかを確認する時に。一方で、一つのことを何し遂げた時に、何を大切にしていたのか、確認する時に役に立っている。

また、組織のチームビルディングにも役に立つと思っている。

組織が大きくなってくると、ひととなりを脇に置いて、仕事をすることが増えてきている。それは言い換えれば、何を大切にしているかより、仕事で何をしているか、何ができているかを優先してしまっている。その結果、その人の選択や行動の背景がわからないことで、誤解がうまれ、高圧的な態度をとってしまうことが多くなっている。

その結果、議論が円滑に進まず、本質的なことにフォーカスできなくなる。

仕事を進める前に5分でも、10分でも、このMY COMPASSを題材にし、お互いが何を大切にし、どういう人なのか、その人の言葉や選択の背景を理解することができたとしたら、仕事がもっと円滑に進み、本質的なことにフォーカスすることができる。その結果、良い成果が生まれ、お客さまにも喜ばれ、お互いが幸せになれるのではないかと考えている。

——今、どんな想いや願いがありますか?

これまで仕事をしてきた中で、

“相手をとことん知る、会社も含めて、自分をとことん理解する
相手を知り、自分を知るからこそ、信頼関係ができる“

営業に限らず、仕事をする上で大切なことだと思っています。

言葉を変えれば、目の前の人の“生き様”に触れること、お互いの生き様を尊重すること

相手の想い・願いを理解できず、また、自分の思いをうまく伝えられず、表面的な言葉の意味だけを受け取られた苦い経験がある。

“最初から人は正しく言える人なんて、ほとんどいない”

だからこそ

“相手をとことん知る、自分をとことん理解する”

そうやって、お互いの想い・願いを聞きあえるようになれば、お互いが幸せになれる。
そんな機会をこれからもさまざまな場で仲間と共に作っていきたいと思っています。


【10月16日スタート!@山中湖開催】FINd YOUr COMAPSs JOURNEy

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